金利上昇に備える借り換え

住宅ローンの借換えを検討する場合は、「目的」によって、取るべき対策が異なります。

具体的な目的として、以下の3つが挙げられます。

  1. 毎月の返済額を下げたい
  2. 総返済額を下げたい
  3. 金利上昇リスクを低くしたい

それでは、「目的」ごとに取るべき対策を見ていきましょう。

目的1.毎月の返済を下げたい

毎月の返済額を下げるためには、次の方法があります。

【現在借りている金利をさらに低い金利に借換える】

現在借りている金利より、低金利の住宅ローンを提供している金融機関へ借換えをすれば、毎月の返済額を下げられます。
近年ではネット銀行を筆頭に、低金利で住宅ローンを組める金融機関も増えており、選択肢の幅は広がっています。
さらに現在の日本は、かつてない超低金利時代に入っており、金利1%を切る金融機関がほとんどなので、特に金利の高い時期にローンを組んだ方にはおすすめできる方法です。

【住宅ローンの残りの返済期間を延ばす】

単純に返済期間の長いローンへ借換えれば、毎月支払う返済金額を下げられます。
しかし、この方法を選択した場合、毎月の返済額は下がりますが、返済期間が長引くので、その分、金融機関へ支払う金利の合計額が増加します。さらに、返済期間が長引けば、金利が上がる可能性も高まるため注意が必要です。
また、現状の低金利がいつまでも続くとは考えにくく、徐々に金利が上昇する可能性を視野に入れておかなければなりません。
このようなリスクを考えると、家計が苦しいなど、やむを得ない事情がある場合を除いて、返済期間の延長は避けたほうが無難です。

目的2.総返済額を下げたい

総返済額を下げるためには、次の方法があります。

【現在借りている金利をさらに低い金利に借換える】

現在より低い金利に借換えることで、総返済額を下げることが可能です。また、残りのローン期間が長ければ長いほど、低い金利へ借換えることによって、返済額の合計金額が少なくなります。
したがって、長期のローンを組んでいる場合で、ローンの借換えをする際には、早い段階で実施することをおすすめします。
低い金利への借換えは、金利上昇に対する備えとしても有効です。

【住宅ローンの残りの返済期間を短くする】

住宅ローンは期間が長いほど、金融機関へ支払う金利の合計額も大きくなります。
そのため、金利が大きく変わらなければ、現在より返済期間の短い住宅ローンへの借換えによって、総返済額を下げることが可能です。
住宅ローンの返済期間が短くなれば、金利上昇リスクも少なくなりますので、金利上昇に対する備えとしても効果的でしょう。
ただし、返済期間を短くすれば、毎月支払う返済額は上がりますので、慎重に検討しなければなりません。

目的3.金利上昇リスクを低くしたい

金利上昇リスクをおさえるためには、次の方法があります。

【変動金利型で借りているローンを固定金利型のローンに借換える】

変動金利型で住宅ローンを組んでいると、半年に1回、金利の見直しが実施されます。そのため、金利上昇リスクがつきまといます。
固定金利型のローンに借換えると、変動金利型よりも金利が高くなるケースが多いですが、金利上昇の心配が不要になります。
ただし、固定金利型にも全期間固定型のタイプと、5年、10年など一定の期間を設定するタイプがあります。
全期間固定型の場合は金利上昇に左右されることはありませんが、期間を設定するタイプの場合、設定した年に金利の見直しが実施されるので注意が必要です。
なお、変動金利型で住宅ローンを組む場合、金利が上昇してきたタイミングを見計らって、固定金利型へ切り替えようと検討する方がいますが、あまりおすすめできません。
なぜなら、金利が上昇する場合、固定金利型の金利も同じように上昇し、さらに利息は固定金利型のほうが高くなるからです。
金利が上昇したタイミングで借換えをすると、金利の変動がなくなるとはいえ、より高い利息で支払い続けなければならず、結果的に損をするケースが大半です。
金利が上昇したタイミングで変動金利型を選択するのであれば、初めから固定金利型を選択したほうがよいでしょう。

【住宅ローンの残りの返済期間を短くする】

住宅ローンは期間が長いほど、金融機関へ支払う金利の合計額も大きくなります。
そのため、金利が大きく変わらなければ、現在より返済期間の短い住宅ローンへの借換えによって、総返済額を下げることが可能です。
住宅ローンの返済期間が短くなれば、金利上昇リスクも少なくなりますので、金利上昇に対する備えとしても効果的でしょう。
ただし、返済期間を短くすれば、毎月支払う返済額は上がりますので、慎重に検討しなければなりません。

【現在借りている金利をさらに低い金利に借換える】

全期間固定型でない場合、基本的に金利上昇リスクは避けられないのですが、現在より低い金利に借換えることでリスクを軽減できます。
現在、住宅ローンの金利は1%を切るほどの低水準にあり、その中でもネット銀行は特に低い金利で借りることが可能です。
ただし、ネット銀行には「審査が厳しい」「事務手数料が高い」などのデメリットもあるので、特徴をよく理解したうえで検討することをおすすめします。

固定金利型で借りている方の対策

全期間固定型で借りている方は、金利上昇リスクはありません。しかし、金利がこのまま上がらなければ、高い金利の利息を支払い続けるリスクはあります。
そこで、現在借りている住宅ローンよりも、低い固定金利型の住宅ローンへの借換えが対策として挙げられます。また、金利上昇に備えるためには、借換えをしない選択も充分に考えられます。
なお、5年、10年など一定期間の固定金利型を選んでいる場合は、当然ながら金利の変動を注視していく必要があります。
返済する期間が長い場合は、金利上昇リスクがつきまといますので、金利見直しの期間が近づいたタイミングで、全期間固定型に切り替えることもおすすめです。

変動金利型で借りている方の対策

変動金利型から固定金利型へ変更したいだけであれば、現在借りている金融機関で金利プランを変更すれば、「変動金利型」から「固定金利型」に変更できます。手続きと費用も借換えに比べて、負担が少なく済むはずです。
しかしながら、現在の金融機関で金利プランを固定型へ変更した場合、適用金利が高くなる場合がほとんどでしょう。
このようなケースでは、金利の低い他の金融機関への借換えが有効です。
また、金利が上昇することによる最大のリスクは、毎月の返済額が増えてしまうことです。
そのため、返済月額をおさえるために変動金利型から、より低い金利の変動金利型に借換えることで、「金利をさらに下げる」対策も有効でしょう。

金利上昇に気を配り住宅ローンと付き合う

住宅ローンにおける変動金利型の指標となる国の政策金利は、ゼロ金利政策が長期に渡り続いています。
新型コロナウイルスの影響による景気悪化への対策として、今後も当面の間、低金利の状態が続くことが予測されるでしょう。
しかしながら、この金利状態がいつまで続くのか、いつどれくらい上昇するのかは予測できないため、金利上昇を意識した住宅ローンとの付き合い方が大切です。


執筆者(2014年8月執筆)

中村 諭(なかむら さとし)

住宅ローンソムリエ(R)、ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、貸金業務取扱主任者


※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:清水 みちよ(宅地建物取引士)


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